三月一日  はれ






 今日は朝からいいことがあった。今朝起きたら、ヒコザルが布団にもぐりこんでいたのだ。昨夜、寝ているヒコザルのお尻には炎がなかったので、寒くなったのだろう。とりあえず嫌われてなくて安心した。


 母さんは、ヒコザルの分の朝食も用意していた。小猿だからなのか、バナナが二本だった。食べるのかな、と一瞬考えたが、あっという間に二本食べきってしまって、キーキーと鳴きながら母さんの服の裾を引っ張って、お代わりを催促していた。その様子はかなり可愛かった。


 昨日の日記に書いたとおり、ナナカマド博士にお礼しに行こうとすると、母さんがお土産に手製のお菓子をくれた。それと一緒に、なぜかランニングシューズをくれた。さっさと行きなさいと言う意思表示だったんだろうか。


 ちなみに、自分でランニングシューズの説明書を読んで「きゃー! かっこいー!」と叫んでいた母さんは、とても若く見えた。いくつになっても気持ちは十代ということなんだろう。息子としては親が元気なのはとても嬉しい。


 町の外に出るとユキムラがいて、「ナナカマド博士のためにシンジ湖の伝説のポケモンを捕まえよう!」と言い出した。自分から進んでお礼をしようとするのはいい心がけだけど、その方法が何時もどおりぶっ飛んでいるユキムラだった。シンジ湖には見知らぬ人がいたけど、何をしていたんだろう。まぁ、伝説のポケモンらしき鳴き声も聞けたから、ユキムラもいいことをしてくれた。


 マサゴタウンでは、ヒカリちゃんが何故か俺を待っていて、直ぐにナナカマド博士の研究所に連れられた。入ろうとしたら、先にマサゴタウンに向かっていたユキムラとぶつかった。「なんだってんだよー!」はこっちの台詞だ。


 ナナカマド博士は、会うなりヒコザルを見せてくれと言ってきた。素直に見せると、俺との間に絆が生まれているということが判明したらしい。本当だろうかと思い、ヒコザルをジッと見つめていたら、顔を引っかかれた。絆なんて信じない。


 その後、ナナカマド博士からポケモン図鑑を完成させてくれと頼まれた。ユキムラも受けたらしいから、受けるしかないだろう。あいつを一人にしたら、何をするか分ったものじゃないし。


 帰り際、ヒコザルをくれたお礼のお菓子を渡したら「礼儀正しいいい子だ」と凄く褒められた。しかも、技マシンまで貰ってしまった。恐縮しながら受け取ったけど、当分は使わないで大事に保管しよう。


 「私のほうが先輩だから」と言うヒカリちゃんに、マサゴタウンを案内してもらった時、女の子と一緒に歩くのは初めてだったから、密かにちょっと緊張した。 


 家に帰って母さんに図鑑の事を報告すると、ママが行きたいくらいと愚痴りながらも、凄く喜んでくれた。門出のお祝いねと言って、晩御飯を凄く豪勢にしてくれた。


 成り行きで受けたことだけど、母さんの分まで頑張ってきます。






 ちなみに、ヒコザルにはニックネームをつけた。ヒデヨシだ。丁度猿だし。


 そういう邪念を勘付いたのか、そのときまた引っかかれたことを、ここに残しておく。


 最近怪我に縁がある。できればこれっきりにして欲しいものだと、傷ぐすりを塗りながら思った。



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