「ん〜ふふ〜」


 ウチの班に割り当てられた旅館の部屋で、適当に鼻歌を歌いながらタタミの上をゴロゴロ転がる。右に左に行ったり来たりするだけやし、やっとる事もちょお行儀悪いけど、今のウチにはこんな事も楽しいと思えてまう。


 仰向けになるたび目に入る夕日の光に目を細めて、ウチは奈良公園であった出来事を思い返した。


 小次郎さんの言葉に従って、ウチは積極的にせっちゃんと距離を詰めようとした。お団子を買うて一緒に食べようとしたんやけど、せっちゃんはあれこれどもると、結局は逃げてまった。昔から剣道の稽古やっとるせっちゃんに、何も運動しとらんウチが追いつける訳もなく、見る見るうちにせっちゃんとの距離が離れていった。


 それがそのまんま、せっかく縮まったと思ったせっちゃんとの心の距離に思えて、ウチは二度と距離を離したくない一心で足を動かし続けた。


 それでもせっちゃんとの距離は縮まらなくて、もうダメやと思った時、急にせっちゃんが走る方向を変えた。チラッと見えた横顔は、何や必死に逃げ出そうとしとるようやった。


 そのせっちゃんが逃げた方向に、小次郎さんが駆けて行く姿を見たんは、その時やった。


 後は、小次郎さんがあっさりせっちゃんを捕まえて、ウチはようやくせっちゃんに追いつけて。小次郎さんの助けもあって、晴れてせっちゃんとお団子を食べる事ができた。


 お団子を食べるとき、せっちゃんを挟むようにして椅子に座った。多分、またせっちゃんが逃げ出さないよう、小次郎さんが一応気にかけたんやと思う。


 ウチはしきりにせっちゃんへ話しかけたり、お団子を食べさせようとしたりして、たくさんアプローチをかけていった。せっちゃんはえらいとまどっとったけど、途中にあった小次郎さんからの目配せに背を押されてのガン攻めやった。


「せっちゃん、かわいかったな〜」


 何が恥ずかしかったんかは分らんけど、ウチがお団子をだべさせようとしたら、せっちゃんは顔を真っ赤にして大慌てしとった。


 そん時小次郎さんが、


「ふむ、百合の花が咲いておるな」


 とか言うとったけど、何やったんやろう。せっちゃん、えらい怒ってたし。小次郎さんは笑ってたけど。


「……小次郎さんには、世話んなりっぱなしやなぁ」


 ピタリと転がる事をやめて、うつ伏せんなってふと、そんな事を呟いた。


 図書館島で初めて会うてからこっち、小次郎さんはウチとせっちゃんの仲を取り持ってくれとる。そのおかげで、前と比べたらかなり、せっちゃんに近づけたと思う。


 もし小次郎さんがいなかったら……今どうなっとるかなんて、考えられへん。


 だからこそ、小次郎さんにはごっつい恩がある。これでホンマにせっちゃんと仲良うなれたら、一生かかっても返せへんようになるかも知れへん。


 それなのに、ウチが小次郎さんにしてあげられてる事言うたら、文字教えてる事と、たまにご飯を作ったげるくらい。けど、ご飯はほとんど茶々丸さんが作ってるらしいから、ホンマにウチがしてあげれてる事は、一つしかない。


「どないしよう……」


 お礼の品を贈る? ……そのうちニ倍三倍になって返ってきそうや。


 毎日ご飯作りに行く? ……アスナやネギ君が飢え死にしてまうな。


 おじいちゃんに頼んでお給料を上げてもらう? ……他力本願は嫌やし、小次郎さんも喜ばんと思う。


 思いつくどれもこれも、今ひとつ自信に欠けるものばかり。どうしたもんかと、深く溜息をついた。


「小次郎さん、何したら喜んでくれるんやろ……」


「なになに? 木乃香あんたって、やっぱりそうだったの!?」


「うひゃあっ!?」


 ぼんやりと、何も考えず口にした言葉に返された声に、全身の毛が逆立つくらい驚いてもうた。


 振り返ってみれば、そこには何や興奮した様子のハルナがおった。


「もー、驚かせんでや」


「ごめんごめん。思いがけない言葉が聞こえてきちゃったから、つい。
 まぁそれは置いといて、木乃香に聞きたいことがあるんだけど、いい?」


「ん、ええよ」


 いくら仲のえぇハルナとはいえ、寝転がったまま話を聞くのは失礼や。ハルナの言葉に頷いてから、起き上がってそっちに向き直った。


「ほんで、ウチに聞きたい事って、何?」


「うん……ぶっちゃけさ、木乃香って小次郎先生の事、好きなの?」


 ハルナが口にした質問は、これ以上ないほど突拍子もないもんやった。


「な、何でそういう質問が出てくるん?」


「いやー、だってほら木乃香って最近、小次郎先生とよく会ってるじゃん。家にも遊びに行くんでしょ? それに、小次郎先生といる時、木乃香すごく楽しそうだから、ついに木乃香も恋をしたのかなー、なーんて」


 そう言うと、ハルナはあははー、何て笑いながら頭をかいとった。まだ半信半疑やから、違う言われても冗談で済ませられるようにしとるのかも知れへん。


『―――小次郎さんを、好きかどうか、かぁ……』


 ウチは確かに、小次郎さんとはプライベートでの付き合いがある。文字教えとるのもそうやし、せっちゃんの事もそうや。


 好きか嫌いかで言えば、間違いなく小次郎さんの事は好き。好意らしきものも、持っとらん訳やない。


 けど、


「んー……よぉ分らんわぁ」


 ハルナが聞いとるんは、小次郎さんを異性として見た『好き』や。小次郎さんイケメンやし、強いし優しいから、そう見れへん事もないとは思うけど……改めて聞かれると、どうなんやろう、と自分で自分に聞いてみたくなるのが本音やった。


「ウチ、他人の恋愛話聞くんは好きやけど、誰かを好きになるとか、全然分らへんからなぁ。男の人と仲良ぉなったのも、小次郎さんが最初やし」


「そっかー……ま、ただでさえウチは女子校だしね。分らなくて当然か。
 それじゃ、私はちょっと他の班の部屋に遊びに行ってくるわ。いきなり変な事聞いてゴメンね木乃香」


 ウチの今現在の気持ちを告げると、ハルナは意外とあっさりこの話を切り上げてもた。“ラブ臭”なんて変な臭いを嗅げるらしいハルナは、恋愛の事となると結構目の色変えるとこがあったから、これはちょっと意外やった。


「うぅん、ええよー。じゃなーハルナー」


 手をヒラヒラと振って、部屋を出て行くハルナを見送った。扉が閉まるまで見届けると、そのまま後ろに倒れこんで、仰向けの体勢で寝転んだ。


「……ウチ、小次郎さんの事、好きなんかなぁ」


 今まで思っても見なかった事でも、言われると気になってまうのが人ってもん。それからしばらく、ウチは目を閉じて、考えに没頭していった。










「ここも、異常なし」


 旅館の随所に貼り付けた、式神返しの呪符。それら全てに異常がないことを確かめた私は、一階のロビーにあるソファーに腰を下ろして一休みする事に決めた。


 自動販売機で適当に水を購入して、喉を潤す。旅館の入り口から見える、茜色に染まった階段を眺めながら、一つ溜息をついた。


「……私は何をやっていたんだろう」


 今日の自分の行いへの、後悔と反省の溜息だった。


 奈良公園に着いてから、しばらく私はネギ先生と神楽坂さんの二人と回っていた。話題はもちろん、昨日の術者たちが今日再び襲ってこないか、という事だった。


 向こうもこちらの意識が襲撃を受けて高まっているのは承知だろうから、それほど直ぐに次の策をぶつけてくるとは考えにくい。そういう理論の元、私たちは『今日は安全だ』という結論を下した。


 もちろん、初日のような妨害が一般人に及ばないとも限らないので、一応全ての班に式神を送っておく事は忘れなかった。


「このかお嬢様は私が影からお守りしていますので、ネギ先生と神楽坂さんは修学旅行を楽しんでください」


「何で影からなの? 隣にいて、おしゃべりでもしながら守ればいーのに」


「い、いえ……私などが、お嬢様と気安くおしゃべりなどする訳には」


「―――ハハーン。桜咲さん、照れてるんでしょ」


「なっ、べ、べ別に私は照れてなど!」


 どこをどう聞き取ったらそうなるのか、神楽坂さんの勘違いに反論して、訂正を要求しようとした時だった。


「アスナーアスナー! 一緒に大仏見よーよ!」


「へぶっ!」


 猛烈な勢いで突進してきた早乙女さんと綾瀬さんに、神楽坂さんが吹き飛ばされていた。綾瀬さんにいたっては、本当になぜかは分らないが跳び蹴りをかましていた。


 そして、それと一緒に、


「せっちゃんせっちゃん、お団子買ってきたで。一緒に食べへんー?」


 満面の笑みを浮かべながら私に駆け寄って、お団子が乗った皿を差し出すお嬢様が現れた。


 神楽坂さんとの会話に意識を取られていた私は、急な展開に頭がついて行かず、


「す、スイマセンお嬢様、私急用が……!」


 無理な言い訳を裏返りそうな声で告げながら逃げ出すので、精一杯だった。


 その後は、逃げた先にいた小次郎さんがなぜか追いかけてきて―――いや、思い返すのはよそう。きっとまた溜息をつく事になる。


「全く、本当にあの人は……」


 危うく思い返しかけた今日の失態を力強く記憶の奥底に叩き返し、紛らわすように水を呷った後、思わず愚痴を零してしまった。


 小次郎さんと出会ってから一ヶ月と少し。あの人の突然の奇行には慣れてきたつもりだが、今日のように勝手に人を巻き込むような行動には毎回頭を抱える。まだ片手で数えられるほどしか経験していないが、ほとんど私に不利益な事が起こるからだ。


 そして何より質が悪いところは、一度捕まってしまえば逃れる事はほぼ不可能という事だ。


 私がどれだけ嫌だと言ってもそれを高笑いと共に流し、いっそ見事と言える揚げ足取りとよく分らない理論で口八丁に丸め込む。場合によってはそもそも逃げ道がない、なんて事もあった。


 これで現代に関する知識や常識が深ければ、詐欺師として成功できる事は疑いない。


 『ネギ先生が親書を届ける手助けをする』という仕事を請けており、生徒も守らなければならない状況になっているにも関わらずあんな事をした、どう見ても緊張感を保っていない小次郎さんには流石に怒りがこみ上げてしまう。魔法を感知できないという事を差し引いても、彼の行動と態度は不真面目に分類されるだろう。


 そこまで考えて、また一つ溜息をついた。どうせこういう文句を言っても、



 ―――そうは言うがな刹那よ。常に神経を尖らせていては疲れてしまい、いざという時の動きが鈍ってしまうと思わぬか。張り詰めた糸は最も切れやすいであろう?



 ……自分で考えて何だけど、リアリティがありすぎて少し泣きそうになった。


「結局、あの人には何を言っても、無駄なんだろうな……」


 嫌な達観を口にした後、最後に深い溜息をつく。剣以外で小次郎さんと付き合うとこればっかりな気がするのは、気のせいじゃないだろう。それでも、恐らく一番被害にあっているエヴァンジェリンさんに比べれば、私はまだマシな方だろうか。


 とはいえ、何の前触れもなくいきなりというのはやっぱり止めて欲しいし、何よりお嬢様の尾行に付き合わせたり、今日のように無理やり合席させるというのは本当に勘弁して欲しい。


 そこまで考えてふと、本当に些細な疑問が、私の脳裏に浮かんできた。


 ―――何で小次郎さんは、ああも私をお嬢様と一緒に行動させたがるんだろう。


 それは、偶然として片付けた方が自然かもしれない疑問。しかし私は何となく、そこに引っ掛かりを覚えていた。


 そう思った最大の理由は、今日の合席の件だ。一般的に見れば団子を一緒に食べるという、その程度の事を走ってまで拒否しようとした私に非があるのだろう。しかし逆に言えば、私は走ってまでお嬢様との合席を拒んだのだから、その理由くらい聞いてくるのが普通のはずだ。


 仮にその時に気付かなかったとしても、他人の感情に敏感な小次郎さんなら、私が居づらくしている事くらい直ぐに気付いたはずだ。人をからかって遊ぶという悪癖を持つ小次郎さんだが、あれで本当に人が嫌がる事だけは絶対にしない。剣道部を初めとして、一部で人望があるのも、その辺りが理由だろう。


 だと言うのに、今日の小次郎さんは私の言葉も聞かず、強制的にお嬢様と合席をさせてきたのだ。


『もしかしたら、何か理由があるのかもしれない……』


 そう考えれば、普段の小次郎さんとは微妙に違う今日の行動にも納得が行く。そしてその場合、目的はお嬢様か私、という事になるだろう。


 ……お嬢様ではない。仮に小次郎さんが何らかの目的でお嬢様に近づこうとするのなら、わざわざ私と共にいる必要などない。お嬢様から文字を教わるくらいの交友があるのだから、チャンスなど好きなように作る事ができるはずだ。それこそ自宅に呼んでしまえばだれにも邪魔される事はない。この私にもだ。


 ならば目的は私、という事になるが、小次郎さんがそうまでする目的など、私には皆目検討もつかなかった。


「やっぱり、思い過ごしかな……」


 癖はあれど信頼に足る人を疑った自分を笑いながら、もうこんな事を考えるのはよそうと、考えすぎで疲れた頭を振り、



 ―――刹那。無粋な問いであるのは重々承知だが……



「……あ」


 唐突に、理由らしき行動を思い出した。


 ストン、と疑問が腑に落ちる音がする。急に鮮明になった頭の中に、その日の出来事が明確に蘇っていった。


 春休みのとある日。小次郎さんに剣の稽古をつけてもらうために、家を訪れた時だ。


 居間に通されて直ぐ、小次郎さんは「用事が残っている」と言って、一度部屋に戻っていった。そして戻ってくると真っ先に、小次郎さん手製のひらがな一覧が書かれた紙を見せられたんだ。その後、お嬢様から文字を教わっているという事を聞いて、それで……



 ―――木乃香殿と喧嘩でもしているのか?



 お嬢様との関係を、聞かれたんだ。


『という事は、小次郎さんの目的は、私とお嬢様の仲を取り持つ事……?』


 そう考えれば、今日の小次郎さんの行動だけでなく、あの無理やりな尾行にも説明がつく事になる。恐らく、剣道部のコーチとして私と関係がある小次郎さんを見込んで、お嬢様が頼んだのだろう。


 ……しかし、そう断じるのはまだ早いのではないか。そういう疑いが持てる記憶を正確に思い返しても、小次郎さんはかなり自然な流れでその会話に持って行っているからだ。この程度の推測で小次郎さんを問い詰めても、気付けばはぐらかされる結果が目に見えている。


「問い詰めるにしろ、情報を集めるにしろ、もう少し待たないとダメか……」


 変なところで手回しのいい小次郎さんを若干恨めしく思いながら、今日何度目になるか分らない溜息をつく。


 ―――仲を取り持つ、か


 それはつまり、小次郎さんの企みが上手くいけば、私がお嬢様と昔のような関係に戻るという事。あの、過ごす時間を純粋に楽しいと思えた日々に。


「……私は、」


 また、お嬢様と仲良くしても……










 ―――一方その頃、麻帆良学園





「愛花ぁ!」


「!?」


 桜ヶ丘の一角にあるログハウス。その中から、天を揺らしそうな家主の叫び声が響き渡った。


 普段は静寂を保っているこの場所を好んで集まった鳥たちが、バタバタと羽音を立てて一斉に飛び出した。


「貴様、何度言ったら分る! お前の人形はあそこにあるだろうが! 次から次へと、新しい人形に毛をつけるな!」


 現在、怒髪天を突く勢いで怒っている家主、エヴァンジェリンの視線の先には、彼女が先日小次郎から預かった猫、愛花がいた。エヴァンジェリンの余りの剣幕に、ビクビクと怯えて身を竦めている様は、動物好きにたまらない保護欲を抱かせるだろう。


 その原因は、今口にされた通り、エヴァンジェリンの足元に転がっている何体かの人形だ。どれもこれも、エヴァが丹精込めて縫い上げた手製のものである。抜群の技術で作られたそれらは、どこに出しても一級品の称号をつけられるだろう。


 そんな人形に、動物の毛―――もちろん愛花の毛である―――がべったりと付着している様は、何とも言えぬ悲しさが漂っていた。


「ま、マスター、あまり怒鳴らずに……」


「黙っていろ茶々丸! 全く、貴様も小次郎も、愛花を甘やかしすぎだ!」


 オロオロとしつつも、何とか主を宥めようとした茶々丸だったが、結果は自分に飛び火するというものだった。普段の躾の甘さを指摘されて、二の句も告げず畏まってしまう。


「毛は撒き散らすは、カーテンは引き裂くは……だから愛花を預かるなど嫌だったんだ!
 茶々丸! 罰だ、愛花を放り出しておけ!」


「えっ……し、しかし、」


「その後で人形の毛を全て取っておけ! いいな!?」


 茶々丸の返事も待たず、ドスドスと足音にまで不機嫌を表しながら、エヴァンジェリンは二階へと姿を消していった。


 残された茶々丸は、命令に従い愛花を外に出すべきか否かを迷い、部屋の中を右往左往していた。


「くそ、小次郎め……面倒ごとを押し付けおって」


 ベッドの上に胡坐をかいたエヴァンジェリンは、気まぐれ(本人談)で愛花を預かってしまった事と小次郎への愚痴を零していく。


「……にゃー」


「あ?」


 それからどれほど経ったのか。気がつけば、問題の愛花が、二階に上がってきてエヴァンジェリンを見つめていた。


「ちっ……茶々丸め、放り出してなかったのか、面倒くさい……。おい、放り出すのは止めてやるから、さっさと下に下りろ」


 まるで虫でもはらうかのような手の仕草と共に、いくらか険の取れた声で愛花を下に追い返そうとする。だが愛花はそれを無視して部屋に足を踏み入れ、エヴァンジェリンのベッドの上へと飛び乗った。


「……何のつもりだ」


「みゃう……」


 今度はベッドにまで毛をつける気かと、睨むように愛花を見ていたエヴァンジェリンの足に、愛花はおずおずと頬を擦り付けた。そして、潤んだように見える目でエヴァンジェリンを仰ぎ見る。


「何だそれは、謝罪のつもりか?」


 言葉には答えず、愛花はエヴァンジェリンに頬擦りを続ける。鬱陶しいので振り払おうとも思ったが、こうまでされると邪険に扱う自分の方が見っとも無く思えてしまう。


「―――あぁ、分った分った。もうそれはいいから、さっさと下に戻れ。その代わり、お前のご主人様には、布代もたっぷり請求してやるからな」


 覚悟しておけよ? と笑みを浮かべながらエヴァンジェリンが愛花の頭を撫でる。それで許してもらえたと感じたのだろう、愛花はその手にじゃれ付き始めた。


「あっ、こら貴様、愛花。私はそこまで許した覚えはないぞっ」


「みゃっ、みゃっ」


 エヴァンジェリンの言葉などどこ吹く風とばかりに、愛花はその手にじゃれ付いていく。


「……よかった、安心しました」


 その声を聞きながら、一階で茶々丸が人形の毛を取りつつ、今晩の献立を考えていた―――












 後書き


 ようやっと書けた……逢千です。大変お待たせしました。


 しばらく期間をあけてからもう一度書くのって、案外厳しかったのに驚き。いやまぁ、昔のゲームとか、ハートゴールドにはまってたってのもあるんですが(ダメ人間


 何はともあれ、今回のお話、いかがだったでしょうか。


 内容的には幕間に近いもので、話も全く進みませんでしたが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。


 愛花可愛いよ愛花。子猫の愛らしさは世界を救うと思う私。


 ……そして、これを書き上げる前に隙間坊主さんから頂いた最新の絵を見て、「俺の思考が読まれている!?」と恐れおののいたのは秘密です。


 では。





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